治験業界は進化を続けており、現代の状況に合わせた刺激的な変革が継続しています。直近では、国際医薬品規制調和国際会議 (ICH) の「医薬品の臨床試験の実施に関する基準 (GCP) 」を対象としたE6 (R3) ガイドラインの一部として、ICH E6 (R3) Annex 1が導入されました。これにより、特に臨床試験の質、データインテグリティ、および試験の効率性に焦点を当てた、いくつかの重要な変更が臨床試験の業務にもたらされました。
主な影響は以下の7つです。- リスクベースドアプローチ: 1つはこれまで以上にリスクベースドアプローチの考え方を臨床試験に導入したことです。試験のあらゆる面でモニタリングのみに依存するのではなく、臨床試験のプロセス全体を通じてリスクを事前に特定し、管理することに重点を置いています。これにより、スポンサーと試験実施責任者はリソースに効果的に優先順位を付け、安全性、データの質、患者のアウトカムに影響を与える重要な試験パラメーターに集中することができます。
- データの質の重視: 試験プロセス全体を通じてデータの質とインテグリティを確保することに重点が置かれています。これは、より効果的なデータモニタリングを通じて行われ、データインテグリティに関連する問題を処理する方法に関する明確なガイドラインによって、適切なデータが収集され、評価されるようにしています。
- 技術への適応: 臨床試験の状況の変化に合わせて、デジタルツール、リモートモニタリング、電子記録の使用が強調されたガイドラインになっています。これを遵守することで、規制基準に準拠しながら、業務の合理化、効率の向上、コストの削減が可能になります。
- モニタリングにおける柔軟性: リスクベースドアプローチへより移行することに伴い、モニタリングの実施方法にさらなる柔軟性を与えています。これにより、スポンサーは、従来のオンサイトで全体を確認するモニタリングアプローチとは対照的に、中央モニタリングやリモートモニタリングなど、ターゲットを絞ったモニタリング戦略をとることができます。
- プロセスの合理化: 改訂後のガイドラインは、臨床試験の重要な側面に焦点を当てることで、不必要な事務処理や冗長なプロセスによる負担を軽減することを目的としています。これにより、試験プロセス全体を迅速化し、管理コストを削減することができます。
- クオリティ・バイ・デザイン(QbD): クオリティ・バイ・デザインの原則の重要性が強調されています。最初からより高い品質を保証するプロトコルと試験デザインの開発を奨励するものであり、最終的にはより良い試験結果につながります。
- ステークホルダーエンゲージメント: スポンサー、試験実施責任者、IRB/IEC、規制当局を含む試験の利害関係者間がこれまで以上に協力することが奨励されています。これにより、より良いコミュニケーションが促進され、試験デザインが規制要件に適合していることが保証されます。
全体として、ICH E6 (R3) Annex 1は、臨床試験の手法を時代に合わせて進化させ、臨床試験の管理と実施において、より柔軟で効率的かつ、リスクを意識したアプローチを促進し、最終的に臨床試験のスピードと質を向上させます。
Author:
Clareece West
President, Europe & America and CCO