1. 目的
このポリシーはビジネス行動規範の定義と概要を示し、全世界のあらゆるビジネス活動や業務において最高の法的、倫理的、道徳的基準を遵守するというリニカルのコミットメントを共有します。
この行動規範は国、地域、役職に関係なくリニカルで働く全ての人に適用されます。リニカルが業務を委託する第三者もこの規範を遵守する必要があります。
本規範に違反した場合、現地の法律、規制、当社のポリシーやSOPに従って懲戒処分の対象となることがあります。
この行動規範は固定的なものではなく、法律やビジネス環境の変化、ステークホルダーからの要請に応じて改訂されることがあります。
2. 説明
2.1 原則
2.1.1 医療への貢献と倫理コンプライアンスの誓い
私たちは医薬品開発を担うにふさわしい最高水準の倫理感を持ち、世界各国の法規制を遵守し公正で透明性の高い事業活動を遂行します。
医薬品開発のあらゆる場面において患者中心の考え方を基に誠実に職務を遂行し、患者の安全・人権の確保と、臨床試験データの信頼性の確保に努めることで医療に貢献します。
私たちは、被験者の安全と人権を第一に考え、臨床試験が適正に実施されるよう努めます。
私たちは、安全で正確なデータの取り扱いや記録の保存など、臨床試験業務の完全性に全力を尽くします。
私たちは、不正行為や非倫理的行為を決して見過ごさず、そのような行為を防止し、対応するために行動します。
私たちは、プロフェッショナリズムと卓越性・誠実性へのコミットメントを通じて、クライアントおよび製薬業界全体に質の高いサービスを提供することを約束します。
私たちは、このコミットメントが、病気と闘う世界中の患者を支援するという、私たちの役割の重要な一部であると認識しています。
2.1.2 コンプライアンスの取組み
2.1.2.1 会社
リニカルグループは経営理念に基づき、適用されるすべての法律、規制、行動規範を遵守して事業を行います。
私たちは、コンプライアンス文化の醸成を目的として、リニカルグループのコンプライアンス方針を定めています。
私たちは、コンプライアンス体制の継続的な強化、行動規範に関する研修の実施により、あらゆる場面で常に誠実に行動し、倫理的に適切な判断ができるよう指導しています。
2.1.2.2 従業員
リニカルの全従業員は、この規範を読み、社内手順あるいはコンプライアンス委員会によって要求されるコンプライアンス研修を受けます。
従って、リニカルの全従業員は、適用される全ての法律、規制、行動規範、リニカルのポリシーとSOPに従うことを約束します。
従業員が正しい行動を判断できない場合は、知識のある他者(倫理コンプライアンスチームなど)に助言を求め、適切な行動を取ることが期待されています。
リーダーは自らの行動を通じて倫理的行動の模範を確立し、チーム内で同様の行動がなされることを確信しています。この行動により、職場における信頼関係およびオープンなコミュニケーションの環境が確保されます。
2.1.3 コンプライアンスの報告
本規範またはその他の基準に基づき、違法または不適切な行為に気づいた場合(またはその疑いがある場合)、その情報は直ちに上司および/または適切な部署(コンプライアンス部門、法務部、人事部など)に報告するか、リニカルのコンプライアンス報告(内部通報)システムを利用して報告しなければなりません。
リニカルは報告について調査し、そのような出来事や行為を是正し、再発を防止するために適切な措置を取ります。
コンプライアンス違反やその他の懸念を報告した人、調査に参加した人に対する報復行為や不当な扱いはリニカルのポリシーとして一切禁止されています。誤って行われた報告についても同様です(故意の虚偽申告の場合を除く)。
2.2 企業活動
2.2.1 贈収賄と腐敗行為の防止
私たちは、贈収賄やその他の腐敗行為を容認しません。
私たちは、事業を営む世界のあらゆる場所で適用される贈収賄・腐敗行為防止法を遵守します。
私たちは、ビジネスの確保や促進のために金銭やその他の形態での支払いを申し出たり受領することはありません。また、臨床試験サービスや臨床試験データ、その他の決定に対する優遇措置の獲得など、臨床試験に不適切な影響を与える目的での金銭等の授受も禁止しています。これには間接的な申し出、第三者への指示や口頭での約束の禁止も含まれます。
また、不適切な意図がない場合であっても、金銭等の授受は不適切な行為と疑われる可能性があります。そのため、贈答、飲食、接待等については、不適切な行為や違法行為に該当する可能性を避けるため、会社のコンプライアンス方針や一般的な社会通念から逸脱しないものに限定しています。
同様に、不適切な販売促進活動など、製薬企業と医療従事者との関係の透明性に関する懸念についても、誠意をもって対応します。
当社の外部委託先などのサプライヤーも、取引前の審査プロセスの一環として、贈収賄・汚職防止のためのデューデリジェンスの対象となります。
2.2.2 公正な取引
私たちは、独占禁止法の重要性を認識し、健全な市場競争を促進・保護するため、事業を展開するすべての国の法律を遵守することを約束します。
私たちは、販売戦略や条件、その他の事項に関して競合他社と談合すること、または談合のように見えることを禁止しています。
2.2.3 利益相反の防止
リニカルの経営と業務上の意思決定は、ステークホルダーに利益をもたらす最良の意思決定を反映するよう徹底します。リニカルの全従業員は適用される法律、規則、規制を遵守し、会社の利益と誠実さを支持し、意思決定のプロセスにおいて個人的な利益を関与させずに意思決定を行い、行動を起こすことが期待されています。
2.2.4 適切なサプライヤーの選定と管理
私たちは、すべてのサプライヤーと公正な取引を行い、この関係において高い倫理基準を要求します。
サプライヤーの審査プロセスにおいてデューデリジェンスを実施し、サプライヤーのビジネス慣行において倫理的かつコンプライアンスを遵守した行動に懸念がないことを確認します。
サプライヤーとの契約には取引条件を明確に記載し、取引を行う前に両者が実施する業務の範囲と性質について明確に理解していることを確認しています。
リニカルはサプライヤーに関連する全ての法律、規制、契約の遵守を求め、全てのサプライヤーの行動と品質を注意深く監督しています。
2.3 情報管理
2.3.1 秘密情報
私たちが業務上取り扱う情報は、秘密情報とみなされる可能性があります。特に非公開情報はすべて秘密情報として厳重に扱わなければなりません。
私たちは、顧客、パートナー、ベンダーなどの第三者からの情報を法律、規制、秘密保持契約または同様の契約に従って、適切に使用、保管、廃棄しなければなりません。
私たちは、情報を本来の目的以外に使用したり、不正や虚偽によって情報を得ることは決して許されません。
私たちは、故意に秘密情報を開示してはならず、またそのような情報の不用意な開示を避けるためにあらゆる予防措置を講じなければなりません。秘密情報の不適切な開示は、文書、データ、会話、ソーシャルメディアへの投稿など、あらゆる手段を通じて発生する可能性があります。
2.3.2 個人情報
個人情報とは、一般に、単独または他の情報と組み合わせることにより、特定の個人を識別することができる情報をいいます。
私たちは、個人情報を、当社が事業活動を行う各国の法令や規制に従い、適切に取り扱うことを約束します。
前項の秘密情報に関する事項は、個人情報の取扱いにも適用されます。
2.3.3 情報システムと機器のセキュリティ対策
私たちは、自社の情報に加え、クライアント、パートナー、サプライヤー等の大切な情報を預かって業務を行います。そのため、情報システムや機器の適切な使用は、私たちが提供するサービスの品質の向上と、私たちへの信頼の維持に必要不可欠です。
私たちは、ISO/IEC 27001:2022の要求事項に従って情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を確立しており、これをデータセキュリティの標準として維持し、継続的に改善していきます。
私たちは、情報を取扱う際に用いる全ての電子システム、電子機器、電子メール等について、不正アクセスや不正使用あるいは誤使用を防ぐため、セキュリティ対策の強化に努めます。
会社の情報システム・機器の使用は原則として業務目的に限るものとし、違法または不適切な使用は認めません。
2.3.4 内部情報の管理とインサイダー取引の防止
私たちは、当社および取引先の非公開の重要情報について、秘密を保持する責任を有しており、当該情報を各国の法令、規制、当社手順に従い適切に管理しなければなりません。
私たちは、非公開の情報を保有している間、当該会社の株式等を購入・売却することを禁止しています。第三者に株式等を購入・売却させることも同様に認めていません。
この非公開の情報には、臨床試験に関する情報の他、会社の合併や買収、事業提携といった企業秘密情報も該当します。
2.3.5 適正な財務報告
私たちは、各国における法令、規制、社内手順に従い会計処理を行い、事実に基づき誠実に会計報告を行います。
私たちは、すべての取引について正確かつ適時に記録を作成し、虚偽またはその誤解を招く記載は決して行いません。
私たちは、内部統制活動を通してリスクの特定、対応、評価、改善を適切に行います。また、会社財産に係るすべての不正行為(粉飾決算の他、横領、脱税、マネーロンダリング等の財務系の犯罪のすべてを含む)への関与を許しません。
私たちは、投資家その他のステークホルダーが当社の状況を正しく判断できるよう、正確かつ十分な情報をもって財務報告書を作成します。
私たちは、社会やステークホルダーに対して、正確かつ適時に情報を開示することを徹底します。
2.4 人材と職場環境
2.4.1 人権の尊重
私たちはすべての人々の人権を尊重します。
私たちは各国の労働法を遵守し、国連グローバル・コンパクトの人権と労働に関する原則1~6に従って行動します。
私たちは児童労働や強制労働を禁止し、私たちが活動するあらゆる場所で職場における差別を容認しません。
私たちはすべての取引先に対し、基本的人権を尊重することを求めます。
2.4.2 雇用と労働環境
私たちは従業員が安全で安心して業務を行うことができる健全かつ快適な職場環境の提供に努めています。
私たちは雇用機会均等を実践しています。また、従業員のスキルや能力を向上させる機会を提供します。
私たちは、すべての人を公平に扱い、採用、人事考課、昇進などは、適切な基準(技能、能力、経験、適性など)に基づいて決定します。
私たちは、ハラスメントや法的に保護される理由(年齢、性別、性自認、障害、人種、宗教など)による差別のない、相互に尊重し合う、活気ある文化を育んでいます。
ハラスメントと差別の禁止は、すべての取引先との関係にも適用されます。
私たちは、社員が仕事と私生活の両立により豊かな人生を歩むことができるよう、ワークライフバランスをサポートするよう努めます。
2.5 社会との関係
2.5.1 企業の社会的責任
私たちは、世界のヘルスケアカンパニー・医療機関のパートナーとして、新薬を含む新しい疾患予防・治療技術の誕生と成長を支援し、世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献します。
私たちは、この”世界中の人々への貢献”の一つとして、寄付やボランティア活動といった非営利的活動による社会への貢献に積極的に取り組んでいます。この非営利活動に伴う金銭の支払いおよび非金銭的な支援において、私たちは法令、規制、社内手順を遵守し、高い倫理観をもって対応しています。
グローバルな社会・環境問題については、国際的なサービスプロバイダーの立場から、グローバルな解決に貢献する行動を積極的に展開しています。
2.5.2 反社会的勢力の排除
私たちは、反社会的勢力(個人、団体、組織を問わず)とは一切の関係を持ちません。違法・不当な要求や圧力は断固として拒絶し、会社と社員を守ります。反社会的勢力と密接な関係を有する者も対象に含まれます。